2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共同開催されるFIFAワールドカップ。史上最大規模となるこの夢の舞台を現地で観戦したいと願うサッカーファンにとって、いよいよ正念場となるチケット確保の戦いが始まりました。
2025年9月10日(日本時間9月11日)、最初の公式販売フェーズである「Visa先行販売抽選」の申込受付がスタート。これを皮切りに、今後は一般向けの抽選販売、そして大会直前期の先着順販売へと、段階的にチケット販売が進んでいきます。
しかし、今大会のチケット販売は過去の大会と大きく異なり、「変動価格制(ダイナミックプライシング)」の導入や、複数回にわたる複雑な販売フェーズなど、事前に理解しておくべき重要なポイントが数多く存在します。
「チケットはいつから買えるの?」
「値段はいくらくらい?」
「どうやって申し込むの?」
そんな疑問を抱える日本のサッカーファンに向けて、この記事ではFIFAの公式発表や信頼できる海外報道をもとに、2026年ワールドカップのチケット販売スケジュール、価格の仕組み、具体的な購入手順、そして注意すべき点を、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。
この”保存版”ガイドを最後まで読んで、2026年、北米大陸で繰り広げられる熱戦の目撃者になるための一歩を踏み出しましょう。
【この記事のポイント】
- いつから? Visa先行抽選は【日本時間:2025年9月11日(木) 0:00 〜 9月20日(土) 0:00】まで。当選連絡は9月29日(月)以降、購入は10月1日(水)以降に割り当てられる指定時間枠で行われます。
- 値段は? チケット価格は最低60ドルからスタートし、決勝戦の最高級席は6,730ドルに達します。これはあくまで初期価格のレンジであり、需要に応じて価格がリアルタイムで変動する「ダイナミックプライシング」が採用されています。
- 買い方は? まずは公式サイトで「FIFA ID」を作成。その後、各販売フェーズで抽選に応募し、当選メールを受け取った後、指定された時間枠(タイムスロット)内にオンラインで決済します(第1フェーズの決済はVisaカードが必須です)。
- 種類は? チケットは、特定の1試合を観戦する「個別試合チケット(SMT)」、特定の会場の試合をまとめて観る「会場指定チケット(VST)」、特定のチームを追いかける「チーム指定チケット(TST)」などがあります。座席カテゴリーは、従来の眺望基準からスタジアムの「階層」を基準とするシンプルな方式に変更されました。
- 注意点は? チケットは必ずFIFA公式サイトから購入してください。非公式サイトでの購入は無効となるリスクが非常に高いです。また、公式リセールプラットフォームが導入予定ですが、アメリカ・カナダでは価格上限なし、メキシコでは定価のみでの再販となります。
※本記事は2025年9月時点の情報を基に作成しています。最新情報は必ずFIFA公式サイトでご確認ください。
販売スケジュール(日本時間)

2026年ワールドカップのチケット販売は、一度にすべてが売り出されるわけではなく、2025年から2026年にかけて複数の「販売フェーズ」に分けて行われます。まずは全体の流れを把握しましょう。
- 第1フェーズ:Visa先行抽選販売
- 応募期間: 日本時間 2025年9月11日(木) 0:00 〜 9月20日(土) 0:00
- 当選通知: 2025年9月29日(月) 以降
- 購入期間: 2025年10月1日(水) 以降に割り当てられる個別の時間枠(タイムスロット)内
- 第2フェーズ(予定):早期チケット抽選販売(Early Ticket Draw)
- 応募期間(予定): 2025年10月27日(月) 〜 10月31日(金)
- 購入期間(予定): 11月中旬 〜 12月上旬に割り当てられる個別の時間枠内
- 第3フェーズ:抽選販売(Random Selection Draw)
- 本大会組み合わせ抽選会: 2025年12月5日(金)
- 応募期間: 組み合わせ抽選会 直後から開始予定
- 最終販売フェーズ:先着順販売
- 期間: 2026年(大会直前期)、詳細日時は未発表
最初の抽選販売で供給されるチケットは約100万枚と発表されており、全世界のファンによる熾烈な争奪戦が予想されます。受付開始からわずか24時間で150万件以上の応募があったとの報道もあり、需要の高さがうかがえます。
フェーズ1:Visa先行抽選販売
現在進行中の最初の販売フェーズは、FIFAの公式パートナーであるVisaのカード保有者のみが対象です。
- 対象者: 3Dセキュア(本人認証サービス)に対応した有効なVisaブランドのデビットカード、クレジットカード、またはリローダブルプリペイドカードを持っている全世界のファン。
- 抽選方式: 申込受付はランダム抽選方式(くじ引き)です。これは、申込期間中であれば、いつ申し込んでも当選確率に影響しないことを意味します。応募の早さで当選確率が変わることは一切ありませんので、内容をよく確認してから手続きを進めましょう。
- 当選後のプロセス: 抽選に当選した場合、それはチケット確保を意味するわけではありません。当選者に与えられるのは、「指定された時間枠(タイムスロット)内にチケットを購入する権利」です。割り当てられた購入時間枠が始まると、その時点で用意されているチケット在庫が完全な先着順で消化されていきます。そのため、特に決勝トーナメントなどの人気試合は、たとえ当選していても、自身の時間枠の後半になると既に売り切れている可能性が非常に高い点に注意が必要です。
フェーズ2〜3:一般向け抽選販売
Visaカードを持っていない方も、まだチャンスはあります。10月下旬から、より多くのファンを対象とした抽選販売が始まる予定です。
- フェーズ2(早期チケット抽選): 主要メディアの報道によると、10月27日から31日にかけて応募受付が予定されているこのフェーズでは、Visaカード以外のユーザーも応募可能になる見込みです。販売方法はフェーズ1と同様、事前応募による抽選と、当選者への時間枠割り当てという形が取られると報じられています。 (出典:
- フェーズ3(抽選販売): 2025年12月5日の本大会組み合わせ抽選会の後、最大の抽選販売フェーズが始まります。このフェーズの最大の特徴は、全対戦カードが決定した上で、特定の試合を指定して応募できる最初の機会である点です。「日本代表の試合が観たい!」という方は、このフェーズが本命となります。当然、人気チームの試合には応募が殺到し、競争はさらに激化することが予想されます。
大会が近づく2026年に入ると、ここまでの抽選で売れ残ったチケットがあれば、最後のチャンスとして先着順での販売が行われる予定です。ただし、この時点では残っているチケットはごく僅かだと考えた方が良いでしょう。
購入方法(日本からの手順)

海外のサイトでの手続きに不安を感じる方もいるかもしれませんが、手順自体はシンプルです。落ち着いて一つずつ進めていきましょう。
【購入までの4ステップ】
- FIFA IDを作成する
- 抽選に応募する
- 当選メールを確認する
- 割り当てられた時間枠で決済する
第1フェーズでの支払いはVisaカードに限定されますが、第2フェーズ以降の支払い方法については現時点では詳細未発表です。しかし、基本的にはクレジットカード決済が中心になると考えられます。
購入には枚数制限があり、1アカウントあたり1試合につき最大4枚まで、大会全体で合計10試合、総計で最大40枚までとなっています。同一試合では、同一カテゴリでの購入が基本とみられますが、異なるカテゴリを一度に購入できるかについての詳細は、購入手続きの際に公式サイトのFAQなどで最新情報をご確認ください。
FIFA IDの作成と応募のコツ
チケット購入の全てのプロセスに参加するための必須条件が「FIFA ID」の作成です。
- アカウント作成: まずはFIFA公式チケットポータル(FIFA.com/tickets)にアクセスし、アカウントを作成します。FIFA ID自体は13歳以上で作成可能ですが、チケットの抽選申込および購入手続きは18歳以上であることが条件です。登録後、「関心登録」をしておくと、今後の販売情報に関する通知をメールで受け取れるのでおすすめです。
- 応募のコツ: 前述の通り、抽選販売は期間内であればいつ申し込んでも当選確率は同じです。慌てる必要はありません。むしろ重要なのは当選後です。当選メールで知らされる購入時間枠が始まったら、可能な限り早く手続きを開始することが、希望のチケットを手に入れる鍵となります。人気試合は、時間枠の開始から数分で売り切れる可能性も十分に考えられます。
決済・引取・キャンセル
- 決済: 支払い通貨は居住国により異なります。日本からの購入者は米ドル(USD)での決済となりますが、カナダ居住者はカナダドル(CAD)、メキシコ居住者はメキシコペソ(MXN)が適用されます。決済時には各カード会社が定める為替レートで自国通貨に換算されて請求されます。
- チケットの引取: チケットはすべて公式アプリを通じてモバイルチケットとして配信されます。紙のチケットは発行されません。配信は未定です。詳細は購入者に対して別途案内されます。
- キャンセル・払戻: 一度購入したチケットは、原則としてキャンセルや払い戻しはできません。しかし、観戦できなくなった場合に備え、公式の再販制度が用意されています。
価格ガイド:ダイナミックプライシングの理解

今大会のチケット価格における最大の変化点が「ダイナミックプライシング(変動価格制)」の導入です。これは、固定の定価が存在せず、需要と供給のバランスに応じて価格がリアルタイムで変動する仕組みです。
- 価格帯の目安: FIFAが公式に公表しているのは、あくまで全体の価格レンジです。
- 最低開始価格: 60ドルから
- 最高価格(決勝戦): 6,730ドルまで
- 仕組み: このシステムは、航空券やホテルの料金設定をイメージすると分かりやすいでしょう。人気のある試合や席種は、多くのファンが購入しようとすると価格が上昇し、逆に関心が低い試合は価格が安定、もしくは下がる可能性もあります。FIFAは「早めの購入が肝要」とコメントしており、基本的には時間が経つにつれて人気カードの価格は上昇していくと考えられます。
- 注意点: ステージ別の詳細な価格リストは公表されていません。宣伝されている「60ドルから」という価格は、最も人気のない試合のごく一部の席に適用される可能性が高く、多くのファンが目にする実勢価格はこれを大幅に上回ると予想されます。
価格戦略:買い時の考え方
変動価格制の導入は、ファンに重大な戦略的選択を迫ります。
- 選択肢A:対戦カード未確定の早期フェーズで買う
- メリット: 比較的、価格が上昇する前にチケットを確保できる可能性がある。
- デメリット: どのチームの試合になるか分からない「ブラインド購入」となるため、関心の低い対戦カードになるリスクがある。
- 選択肢B:組み合わせ決定後のフェーズで狙い撃ちする
- メリット: 応援したいチームの試合を狙って申し込める。
- デメリット: 需要が特定の試合に集中するため、競争が激化し、価格も大幅に高騰している可能性が高い。
「とにかくワールドカップの雰囲気を味わいたい」のか、「特定のチームの試合が観たい」のか。自身の目的によって、取るべき戦略は大きく異なります。予算を計画する際は、「60ドル」を基準に考えるのではなく、価格変動を見越して十分な余裕を持っておくことが不可欠です。
チケットの種類と座席カテゴリー

チケットにはいくつかの種類があり、座席の分け方も従来から変更されています。
- チケットの種類
- 個別試合チケット (Single Match Tickets – SMT): 特定の1試合のみを観戦する最も標準的なチケット。
- 会場指定チケット (Venue Specific Tickets – VST): 特定の一つのスタジアムで開催される複数の試合を観戦できるパッケージです。(※ただし、開幕戦、準決勝、決勝などの一部の試合は含まれません。また、グアダラハラ会場のVSTにはラウンド32の試合が含まれないなど、会場によってパッケージ内容が異なるため、詳細は公式サイトで確認が必要です。)
- チーム指定チケット (Team Specific Tickets – TST): 選択した特定のチームのグループステージ3試合を観戦できるパッケージ。
- 座席カテゴリーの変更
- これまでの大会では、座席はピッチへの眺望(サイドライン沿い、ゴール裏など)で細かくカテゴリー分けされていました。
- 2026年大会では、主にスタジアムの「階層(レベル)」によって決まる、よりシンプルな区分けになります。
- カテゴリー1: 最も高価格帯。主にスタジアムの下層階。
- カテゴリー2: カテゴリー1の外側。下層階または上層階。
- カテゴリー3: カテゴリー1・2の外側。主に上層階。
- カテゴリー4: 最も手頃な価格帯。主に上層階。
この変更と変動価格制が組み合わさることで、需要の高い試合では「カテゴリー3(上層階)」のチケットが、需要の低い試合の「カテゴリー1(下層階)」より高額になるといった現象も起こり得ます。カテゴリーの名称だけでなく、購入時に提示されるリアルタイムの価格を最重要の判断基準としましょう。
アクセシビリティチケット
FIFAは、障がいのある方や移動が困難な方向けに、全ての試合で専用のチケット枠(アクセシビリティチケット)を確保しています。これには「車椅子使用者席」などが含まれ、介助者用のチケットを同時に申し込むことも可能です(1グループ合計4枚まで)。席数には限りがあるため、本当に必要とする方のみが申請するよう呼びかけられています。 (出典: FIFA.com/tickets)
公式ホスピタリティパッケージ(On Location社)

一般販売チケットとは別に、プレミアムな座席での観戦に専用ラウンジでの飲食サービスなどがセットになった、豪華な「ホスピタリティーパッケージ」も販売されています。
- 公式提供者: これらのパッケージは「On Location」社が独占的に販売しています。購入はFIFA公式サイト(FIFA.com/hospitality)または同社が指定した正規代理店を通じてのみ可能です。
- パッケージの種類と価格: 特定会場の全試合を観戦できる「会場シリーズ」や、特定チームを追いかける「フォロー・マイ・チーム」などがあり、価格は数千ドルから数万ドルと非常に高額です。これらは一般チケットとは全く別の商品として考える必要があります。
公式リセールと安全対策

残念ながらチケットを入手できなかった場合や、購入後に観戦できなくなった場合に重要となるのが再販市場です。
- 公式リセールプラットフォーム: FIFAは、チケット所有者が安全に再販できるよう、2025年内に公式のリセールプラットフォームを立ち上げる予定です。しかし、そのルールは開催国によって大きく異なります。
- アメリカとカナダ: 再販価格に上限は設けられません。需要が高ければ、定価を大幅に上回る価格での取引が公式に認められます。
- メキシコ: 現地の消費者保護法に基づき、再販はチケットの元々の購入価格(定価)でのみ許可されます。
- 非公式サイトに関する警告: FIFAは、公式サイト(FIFA.com/tickets)以外から入手したチケットは偽造や無効であるリスクが非常に高く、入場を保証しないと繰り返し強く警告しています。大会が近づくと、高額な転売サイトや詐げんサイトが必ず現れます。安全に観戦するためにも、絶対に非公式なチャネルからは購入しないでください。
日本からの観戦・実務メモ

チケット確保は、現地観戦に向けた第一歩に過ぎません。以下の点も早めに確認・準備しておきましょう。
- 渡航認証・ビザ: チケットを持っていることは、開催国への入国を保証するものではありません。日本から観戦に行く場合、アメリカのESTA、カナダのeTAといった電子渡航認証の申請、あるいは必要に応じてビザの取得が各自の責任において必要となります。これらの手続きを怠って入国を拒否された場合でも、チケット代金は返金されません。
- 航空券・宿泊先: 2026年大会は3カ国の広範囲な都市で開催されます。観戦したい試合のチケットが確保できたら、間を置かずに航空券や宿泊先を確保することが、旅費を抑える上で非常に重要です。
不明点/今後のアナウンス待ち
本記事は2025年9月時点での情報を取りまとめたものですが、依然として未確定な情報も多く残されています。
- 日本サッカー協会(JFA)経由の販売: 過去の大会では、参加国のサッカー協会にチケットが割り当てられ、国内で販売されるケースがありましたが、今大会におけるJFA経由の販売の有無については不明です。
- 具体的な座席の割り当て: チケットはカテゴリーごとに販売されますが、そのカテゴリー内のどの座席になるかの詳細な割り当て方法は不明です。
- 公式リセールプラットフォームの開設日: 2025年内に開設予定とされていますが、具体的な日付や利用規約の詳細は不明です。
これらの情報については、今後のFIFAからの公式発表を待つ必要があります。
まとめ
2026年FIFAワールドカップのチケット争奪戦は、これまでの大会とは全く異なる新しいルールセットで進行します。最後に、成功への鍵をもう一度おさらいしましょう。
- 今すぐFIFA IDを作成し、最初のステップへ。 まずは公式サイトでアカウントを作成し、現在進行中のVisa先行抽選、あるいは今後の一般抽選への準備を整えることが全ての始まりです。
- 当選はゴールではなくスタートライン。 抽選販売の当選は、あくまで購入する権利を得たに過ぎません。割り当てられた時間枠でいかに迅速に行動できるかが、希望のチケットを手にできるかを左右します。人気試合は早期の売り切れ