難航する東京オリンピック開催の判断。大会中止の決定権は誰が持っている?

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こんにちは、スポカフェ編集部です!

7月に開催予定となっている東京オリンピックですが、新型コロナウイルスの影響により、大会への期待よりも開催可否への関心が高まっているというのが実情になっていますね。

ワクチン接種が日本国内でも開始されてきたとはいえ、日本の世論だけでなく海外メディア・関係者からも五輪中止を訴える声は連日大きくなってきています。開催国である日本の政府や開催都市の東京都が、開催へ向かう姿勢を崩さないことも、国民の反発を呼んでいることは間違いないでしょう。

本記事では、東京五輪・パラリンピックは本当に開催されるのか、中止となる際には誰がどのように判断し、決定権はどこにあるのかについて説明していきます。今後も東京オリンピックの動向には注目です。

開催中止の最終決定権を持つのはIOC?

「安心・安全な大会の開催は可能」

先月あたりから、菅義偉首相は記者会見の場で、そう語る回数が増えてきていると感じる方も多いのではないでしょうか。特に、記者からの質問で大会可否についての質問が出た際に、その答えを発する場面が多くみられています。

また、菅首相のコメントからはこんなことも聞かれました。

「開催の決定権を持つのはIOC(国際オリンピック委員会)」

日本国内では、連日政府に対して「五輪・パラリンピックの中止・延期」を訴える声が上がり続けています。しかし、菅首相の言葉にもあるように、最終的に大会の開催・中止を決めるのはIOCであり、日本には決定権がないというのが事実のようです。

このことはオリンピック憲章や開催都市契約2020にも明記されており、昨年3月に決定された大会の1年延期も、日本側がIOCに進言したことでIOCが判断したという背景がありました。したがって、日本政府、または開催都市である東京都には大会の開催・延期・中止の決定権はありません。

しかし、日本国内の状況をIOCに伝えるなど、開催・中止を「求める」ことができる立場であることには変わりはありません。日本政府、東京都は国内の状況、国民感情などを正しくIOCに伝えていかなければならない立場にあります。

オリンピックを中止にできない理由

本当にオリンピックが中止となった場合、とてつもない負担を強いられることはIOC、そして開催する日本も同じです。

4年に1度行われる夏季五輪は言うまでもなく、IOCにとって大きすぎる収入源となっています。収入のおよそ7割を占めるテレビ放映権の他、スポンサーからの拠出金の収益も大半がIOCへと流れており、これを「中止」という形で失うとなると、IOCは死活問題となりかねません。

この点において、IOCが自ら東京2020の中止を決定しないという背景があります。

また、日本側も、中止の意思を示すことができない大きな理由として考えられるのが、IOCに対しての「違約金」と伝えられています。さらには2013年に大会開催決定以降、8年間で開催準備に費やした金額は1兆円を超えるとも言われており、仮に中止となった際には経済損失がこの上ない痛手となると考えられています。

何よりも大会の主役である選手たちの立場・心情も考慮していることももちろんですが、IOC、日本側とも「お金」が大会中止の決断を鈍らせている要因であると言えるのではないでしょうか。

延期となったバッハ会長の来日

5月中旬に予定されていたIOCのトーマスバッハ会長の来日が、緊急事態宣言の延長により見送られています。

「大きな負担をおかけすることになる」(橋本聖子東京五輪・パラリンピック組織委員会長)という、日本側の意向で予定を6月へと延期することになりました。

当初は、バッハ会長が五輪直前の来日することで、広島での聖火リレーに参加するなど開催への気運を高めることも目的の一つでしたが、一部関係者から来日に関して「国民感情とのずれ」を挙げる声もあったと言います。

もう一つ考えられていたのが、会長が来日した上で大会開催が可能かどうか国内の状況に触れ、何かしらの意思表示をするであろうとも伝えられていました。

現状、IOCは「開催ありき」のスタンスを貫いていますが、バッハ会長が日本の反応を感じ取る機会となるのであれば、6月の延期された来日の際には、改めて大会に向けたメッセージが発せられることになるかもしれません。

ただ、いまだはっきりとした日程も発表されておらず、来日が実現できるかどうかも定かではありません。いずれにしても、大会トップであるバッハ会長のおよそ1ヶ月前での来日は、五輪の開催・中止へ大きな影響を及ぼすことになりそうです。

まとめ

海外からの観客の受け入れを断念したこと以外、大会を取り巻く環境での新たな決定は行われておらず、大会2ヶ月前に迫った現在も、観客数の上限や無観客での開催も結論に至っていません。

ワクチンの接種に関しても選手・国民の間でも様々な感情があることが伝えられるなど、「安全・安心な大会」へ向けて不透明な部分ばかりだと言わざるを得ません。

開催・中止・延期と、いずれの判断が下されようとも、あらゆる方面で利害関係が生じることは明白です。しかし、最も優先すべきことが何であるかもはっきりとしているでしょう。開催を主張し続け、決定権を握るIOCに対し、日本政府対応に今後も注目していきましょう。